HONEY HOUSE ハニーハウス~美しいデザインと綺麗な空気で建てる幸せな家づくり~

本物の自然素材を使った、安心して住める住宅造りと心を豊かにしてくれるエレガントでセンスのある家

〒064-0951

札幌市中央区宮の森1条10丁目

 

建築デザイナー     土岐敏央

インテリアデザイナー 土岐ゆう子

TEL 011-707-0329

お問い合わせ・ご相談はこちら

honeyhouse@watch.ocn.ne.jp

住宅・建物の劣化の原因

The cause of the degradation in housing and a building

劣化する結果には必ず原因があります

 

上の画像は何を意味しているのでしょうか?

 

左が普通の画像。右はサーモカメラで撮った画像です。

 

左の窯業サイディング部分の画像を良く見ると、もうボロボロになっていますね。

 

そして、その上から無理やり塗装を塗っています。

 

 

右のサーモカメラ画像を見ると、左の画像でちょうどボロボロになったところが青くなっています。

 

これは未だに水分を含んでいる状態を表しているのです。

 

 

原因はズバリ断熱欠損。

 

中のグラスウールの断熱性能はほとんど無いに等しいレベルで、さらに痩せてしまっていることでしょう。

 

さらにボロボロになった窯業サイディングにはいくら塗装してもムダ。

 

数年も経たないうちに水分の進入を許してしまうことでしょう。

 

 

サイディングを剥がすと内部はきっとこんな感じ。

 

 

結露で断熱材は黒くなり、通気層を取らないサイディングを2層貼ってもこんな結果。

 

その施工方法も含めて、サイディング自体にはほとんど断熱に効果が無いのです。

 

冬季には玄関風除室の寒いところからさえ、結露の水が大量に流れて凍っています。

 

応急処置でこのような対策をしました。

 

断熱材の気流止め加工です。

 

グラスウール等の繊維系の断熱材の最大の欠点は、内部を空気が回ることによって断熱性能が半分以下になってしまう事です。

 

外部周り全ての気流止めをすることがベターですが、これで風除室と玄関への冷気が止まり、逆に今まで結露水が基礎に流れて凍ってしまっていた症状も止まりました。

 

こんな症状をもしほうっておくといずれ柱や土台は間違いなく腐るでしょうし、灯油代がいくらあっても足りないのでは。

 

壁を開けなくても建物に起きている症状とサーモカメラの画像から、このような想定が可能になります。

 

現状を見て、本当に正しいかどうかの判断が出来るかが良い工事の基本です。

 

この気流止めをするかしないかで、どのような違いがあるかのデータが下記のサーモカメラの画像です。

 

無断熱より、断熱材が入っている方が結露が起きる!?

北海道ではグラスウールでしたら100㎜以上が当たり前になっていますので、傾向としての実験参考画像です。

 

左側から、無断熱、断熱50㎜(気流止め無し)、断熱50㎜(気流止め有り)となっていますが、無断熱の部分はやはり下部のところの温度が低くなっています。

 

ですが注目すべきは断熱材50㎜を入れて気流止めをしない場合、無断熱の施工よりも青い部分が強くなっており、結露する可能性が一番高くなるのは断熱(気流止め無し)という画像結果になっています。

 

 

断熱材を入れているのになぜ!?

 

 

この原因としてグラスウール等の繊維系断熱材は蓄熱性能がある為に、スカスカの無断熱よりもグラスウールに冷気も溜まりやすくなりことが考えられます。

 

断熱材の欠点は、壁の中の温度差で冷気は下から上へ、暖気は上から下へと冷気も暖気もグラスウールの中を動くという熱の移動が起こることです。

 

暖房しているのにザワザワと床が寒い、クーラーをかけているのに上から熱気がムンムンとくるなどの原因の一つはここにもあります。

 

その熱の移動を止めてグラスウール等の繊維系断熱材の所定性能を発揮させてあげるのが気流止めの役割で、現在では新築等にグラスウール等の断熱材を施工する際には、気流止めをする施工方法も増えてきています。

 

熱の移動が起こることによってこんなことが実際に壁の中で起きています。

 

ALC(へーベルライト)の木造住宅の壁内部を調査しました。

 

画像を見ると100㎜のグラスウールがちゃんと入っているのに、室内の床・壁付近から、夏は熱気、冬は冷たい隙間風が絶え間なく入ってきていました。

 

原因は壁内部を動く空気の仕業と、グラスウールの押し込み過ぎと顕著な隙間などの施工不良。

 

ALCの塗装が劣化して水分を含んでいたことも断熱性能の劣化に拍車をかけ、壁内部結露とALCからの水分の進入によって、構造材の柱・土台・間柱・筋交いが指で簡単に潰れるくらい腐食していました。

 

古い時代に建築されたALC(へーベルライト)の外壁の住宅の多くが、このような状況になっています。

 

このまま同じ施工方法でリフォームすると、恐らく同じ結果になることも想定されます。

 30数年を経過した家屋は、更に劣化のスピードが速くなる可能性もあります。

 

長持ちする美しい塗装の可否は下地の調査が大切

この画像は塗装の塗り替えで、施工後1年を経過した外壁の状態です。

 

塗装って1年でなんでこんなに剥がれるの?!

 

塗装業者さんは塗装のプロですが、建築本来の技術や環境に関しての知識がある方は決して多くはありません。

 

オーナーさんはクレームで塗装業者さんを呼んで何度か塗り直したのですが、また1年後同じ状況になり、今では無数の剥がれ後が悲惨な状況です。


60年以上の経験を持つ塗装業者さんですが、剥がれた原因が全く分からなかったそうです。

 

 

原因は複数あります。

 

一つは塗装の際に下地処理を怠りシーラーを塗らずに塗料を薄め過ぎて施工したこと。

 

もうひとつは、これが一番大きな要因ですが構造的な原因。

 

通気層のない極度に熱くなったサイディングと、その内部の温度が上昇して熱の逃げ場が無くなり、結果としてサイディングから塗料が剥れるのに最適な状態になったこと。

 

もともと十分に施工されていなかったグラスウール断熱材が、更に年月を経て劣悪になった外壁内部の環境が、断熱材の痩せを引き起こし、壁内部を見るとグラスウールがまるで綿あめのようにスカスカでした。

 

画像は換気フードの横の部分が剥がれていますが、更に廃棄熱による熱割れを起こしています。

 

 

ここでリフォームに関して最適な判断としては

 

・断熱材が十分に入っていない、通気層が全く無い、などの理由でサイディングの面材の劣化が著しく、塗装を塗っても劣化が著しく早い為に、サイディング自体を張替える。

 

・それでも塗装をしたい場合、念入りな下地処理とシーラーの塗布が必ず必要。

ただし、塗装しても7~10年は持たない可能性が大。)

 

そうしなければ今回の事例のようにせっかく安い費用で塗装したにも拘らず、掛けた費用が全て無駄になることになります。

 

工事を進める前、またはもうそろそろメンテナンスが必要かなと思ったら建築士の調査をお勧めします。